EU|欧州理事会と欧州議会、電池規則案の一部内容について暫定合意
2023-01-18

軽輸送手段用電池にも回収目標を設定へ

 2022年12月09日、欧州理事会は、3機関での非公式会合が続いてたEU電池規則案の検討について、一部の内容について暫定合意がなされたことを明らかにしました。携帯型電池の回収目標の設定、廃電池からのリチウムのリカバリー目標、産業用電池や始動用、照明用、点火用電池(SLI)、EV用電池について、リサイクル材料の使用義務、ラベル表示要件の適用時期などについて合意がなされたとされています。

発表された合意内容の要点:

  • 携帯型電池の回収目標:2027年末までに63%、2030年末までに73%

  • 軽輸送手段用電池に新たに回収目標を設定:2028年末までに51%、2031年末までに61%

  • 廃電池からのリチウムのリカバリー目標:2027年までに50%、2031年に80%

  •  - 目標値は別途委任規則により修正される余地が残る

  • 始動用電池、照明用電池、点火用電池(SLI)(starting, lightning and ignition (SLI) batteries)についての要件(※自動車用電池の要件だった箇所と推察)

  • 産業用電池やSLI、EV用電池のリサイクル材料含有義務-閾値:コバルト16%、鉛85%、リチウム6%、ニッケル6%

  •  - 電池にリサイクル含有量証明書を保持する義務を追加

  • ニッケル・カドミウム電池のリサイクル効率要件:2025年までに80%

  • その他で電池のリサイクル効率要件:2025年までに50%

  • 家電製品に組み込まれた携帯用電池はエンドユーザーが取り外して交換できるようにする必要があるが、猶予期間(事業者に対して設計の適合性を確保するための期間)として、規則発効後42ヶ月を設定

  • 軽輸送手段用電池の交換は、独立した専門業者によりなされるものとする

  • 電池の構成部品やリサイクル材に関する表示や情報提供の要件、「電池パスポート」やQRコードなども導入へ

  • ラベル表示要件が適用されるまでの猶予期間:規則発効後36カ月

  • QRコード要件が適用されるまでの猶予期間:規則発効後42カ月

  • デューデリジェンス要件:中小企業に対する適用除外要件を設定

この後の展開は?

 まだ「一部」の「暫定」合意ですので、公布まではまだ必要なステップがございます。

 法令として制定されるには、立法機関である欧州議会と欧州理事会が、調整後の同じ修正案の内容に合意する必要があります。大まかなステップとして、その後、両機関の長の署名、官報での公布という流れになります。

 文書登録簿や法令データベースなどでも今回の合意文書を確認できませんので、これまでの非公式会合と同様、非公式会合での合意として明らかにはされていないようです。そのため、元々の要件の分量に対して、どの程度が合意されたのか、上に公表されている内容が全てなのかなどが不明瞭です。

 次に注目するステップは、欧州議会と欧州理事会の両機関の最終合意がなされるかどうか、という点になります。

参考

■ 欧州理事会の発表

 

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