2022年07月6日以降、PTFEマイクロパウダー中PFOAは実質0.025mg/kg規制へ

　2022年05月17日、欧州委員会はPOPs規則の附属書IのPFOA項目を改正する規則案を公表し、意見募集を開始しました。意見募集は06月14日までとなっています。附属書Iは「条約および議定書に記載されている物質、ならびに条約にのみ記載されている物質」として、基本的に残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約（POPs条約）の附属書A「廃絶」に対応する内容となっています。

　改正対象箇所であるPOPs規則附属書IのPart Aは、POPs規則第3条「製造、上市、使用、および物質の収載の管理」の第1項の要件に対応する物質が列挙されています。

　第4条は「管理措置からの免除」を規定する条項で、基準物質としての研究開発用途や、特定条件下の非意図的含有の場合について、第3条が適用されない旨を規定しています。

改正内容

　今回の改正案は、POPs規則附属書I、Part AのPFOA関連項目に規定されていた内容のうち、第3項および第4項で明記されていた、「非意図的微量汚染物質 （UTC）」 規制値の見直し規定に対応するものです。当該規制値は、2022年07月05日までに見直すことが規定されていました。

POPs規則附属書I、Part AのPFOA関連項目、第3項

　第3項は輸送単離中間体として使用される物質中に存在する場合のUTC規制値（免除閾値）について規定しています。今回の改正案では、特に規制値の変更はなく、免除の見直し期限を2023年08月25日までに延長する内容のみ提案されています。

POPs規則附属書I、Part AのPFOA関連項目、第4項

　第4項は、電離放射線照射または熱分解によって製造されたポリテトラフルオロエチレン（PTFE）マイクロパウダー、およびPTFEマイクロパウダーを含む工業用および業務用の混合物および成形品に含まれるPFOA等に係わる免除について規定しています。従来の閾値は、1 mg/kg （0.0001 wt%）とされていましたが、今回、2022年07月06日以降、0.025 mg/kg （0.0000025 wt%）のUTC規制値（免除閾値）が提案されています。

　欧州委員会によると、ECHAの専門委員会の評価では、PFOA濃度をPOPs規則で定められた一般的なUTCレベルである0.025mg/kg（25ppb）以下に低減するためのプロセスが既に開発されており、ほとんどのPTFEマイクロパウダー製造者によって成功裏に実施されていると説明されています。残りの製造者についても、2022年7月5日までに0.025mg/kgの規制値を遵守することができるだろうと見込まれており、今回の改正規則案の内容が準備されています。

　改正規則の内容の表現が複雑で分かりにくいですが、欧州委員会の改正内容の説明や改正規則案の前文を読むと、PTFEマイクロパウダー中のPFOA等のUTC規制値を、2022年07月06日以降、0.025 mg/kg （0.0000025 wt%）にする、という意図が読み取れます。

POPs規則附属書I、Part AのPFOA関連項目、第5項(e)

　改正規則案では、第5項(e）の削除が提案されています。第5項(e)では、次の用途のPTFEやポリフッ化ビニリデン（PVDF）の製造について、適用除外が規定されていました。

(i) 高性能で耐食性のあるガスフィルター膜、水フィルター膜、医療用繊維のための膜
(ii) 産業用廃熱交換器
(iii) 揮発性有機化合物（VOC）および PM2.5 微粒子の漏洩を防止する工業用シーラント

参考

• 改正規則案の意見募集／欧州委員会

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