化学産業向けの製品カーボンフットプリント算定用ガイドラインが公開
2022-10-12

 化学業界においては、バリューチェーン(スコープ3)が温室効果ガス(GHG)排出量全体の約77%を占めています。そのうち、原材料調達に伴うGHG排出が目立ちます。

 それに対し、つい最近、世界的なイニシアチブのTogether for Sustainability(TfS)は『化学産業におけるカーボンフットプリント算定用の製品向けガイドライン』の第五章を公布し、サプライヤー向けのカーボンフットプリント(PCF)算定仕様を提供しました。これにより、(1)スコープ3カテゴリー1(購入した製品・サービス)のPCF算定方法の明確化および(2)サプライチェーンにおけるスコープ3排出量の評価に必要なデータと情報の把握に寄与することが期待されています。

 現時点で、本ガイドラインはBASF(ビーエーエスエフ) をはじめとする化学業界の37社の大手企業から支持をされ、化学材料を使用するその他の産業にも適用できます。詳細は以下となります。

主な内容

 本ガイドラインはISO 14044、ISO 14067やGHGプロトコル等の国際基準に沿ったものです。第五章は、目標および範囲、計算ルール、算定および報告という3節から構成され、次のポイントを含みます。

  • システム境界(System Boundaries)

 システム境界とは、「ゆりかごから墓場まで(Cradle-to-gate)」のPCFを指し、採掘製造、輸送から出荷に至るまでの全過程を含む「ゆりかごから墓場まで(Cradle-to-gate)のPCF」を指します。下流における販売した製品の使用・廃棄の排出は、一般的に「ゆりかごから墓場までのPCF」の除外対象となります。

  • PCFの申告単位(Declared unit of PCF)

 PCFの申告単位は、「ゆりかごから墓場までのPCF」を定量化するための基準単位となる製品の質量を表しています。化学製品の場合、申告単位は1キロの製品とされることが多いです。

  • 計算ルール

 計算ルールは、主にPCF算定のステップ、データの種類・ソース、排出係数の要求事項および排出源、活動データの要件やデータ品質などから構成されます。

  • PCF算定を検証するためのチェックリスト

  • 報告される情報(PCFを含む)

今後のスケジュール

  • 2022年11月、「第二章 本ガイドラインについて」、「第三章 報告原則」や「第四章 企業レベルでの『スコープ3.1』算定ガイドライン」を含む残りの章が公布;

  • 2023年後半、共有ソリューションのITシステムが導入。

 さて、中国においては、現時点で公布された国内基準に基づき、スコープ1(直接的GHG排出)及びスコープ2(購入した電力・熱の使用に伴う間接的排出)からのGHG排出のみ、算定することができます。低炭素型サプライチェーン経営を目指す企業は、当該ガイドラインも参考に、スコープ3についてのGHG排出を算定することで、ライフサイクル全体でのGHG排出の現状を把握することができます。

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